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 第25回基礎医学教育協議会合同講演会(CASE XXV)

澳门金沙官网_金沙国际赌场-app*网投 解剖学第二講座 教授 服部剛志先生

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服部剛志先生

 本講演会は、最新の研究成果に触れる機会を提供するとともに、学内外の学術交流を促進することを目的として開催されました。当日は、多くの教職員?学生が参加し、講演後の質疑応答も活発に行われるなど、終始熱気に包まれた有意義な会となりました。

 

開催日時  : 2025(令和7)年12月17日(水) 16:30~17:30
開催場所  : 基礎医学棟 第1講義室

講演者   : 解剖学第二講座 教授 服部 剛志 先生
演   題    : 「社会性行動と神経炎症におけるアストロサイトの役割」

■服部剛志先生のご略歴

2007年 大阪大学大学院医学系研究科 特任助教
2008年 大阪大学大学院医学系研究科 助教
2010年 金沢大学 医学系 助教
2014年 金沢大学 医学系 准教授
2025年 澳门金沙官网_金沙国际赌场-app*网投 医学部医学科 解剖学第二講座 教授

■ご講演内容と研究サマリー

 服部先生が進められている主な研究テーマは、「脳内グリア細胞の生理的機能および病態への関与の解明」です。脳を構成する細胞のなかでもアストロサイトやミクログリアは、従来の脳科学において必ずしも主役として扱われてきたわけではありませんが、近年、対人関係に関わる社会性をはじめとする高次脳機能や、アルツハイマー病などの神経変性疾患の病態において、グリア細胞の重要性が大きく注目されるようになっています。
 服部先生は、こうした課題に多角的にアプローチするため、形態学的解析、遺伝子クローニングとタンパク質の発現解析、細胞培養、トランスジェニックマウスおよびノックアウトマウスの作製?解析、さらにマウスの行動解析など、多様な手法を組み合わせた研究を展開しています。

 本講演では、グリア細胞の一種であるアストロサイトに焦点を当て、社会性行動および神経炎症との関連について最新の知見が紹介されました。アストロサイトは脳の大部分を占める細胞であり、その数は神経細胞を大きく上回ります。アストロサイトはこれまで、神経細胞への栄養供給、血液脳関門の形成、シナプス機能の調節など、脳内環境の維持に関わる多彩な役割を担うことが知られてきました。一方で、社会性行動のような高次脳機能への関与については、未解明な点が多く残されています。
 講演では特に、分子としてCD38に着目した研究成果が取り上げられました。CD38は、視床下部神経細胞におけるオキシトシン分泌促進を介して社会性を制御することが知られています。本研究ではさらに、生後期のアストロサイトに発現するCD38が、大脳皮質および海馬における神経回路形成を制御し、社会性行動に関与する可能性が示されました。
 具体的には、生後10日以降のアストロサイト特異的にCD38を欠損させたマウスにおいて、社会性記憶(一度接触した他個体を「既知の個体」として識別する能力)が選択的に障害されることが報告されました。加えて、前頭皮質および海馬(CA1?CA2領域)においてシナプス形成異常が認められ、アストロサイト由来の分子機構が神経回路形成に影響を及ぼすことが示唆されました。
 さらに、CD38欠損アストロサイト由来の培養上清を用いたプロテオミクス解析により、SPARCL1とよばれる分子がCD38下流でシナプス形成を調節する因子として同定されました。これにより、アストロサイトが神経回路形成を促進し、社会性を司る脳の領域の発達に関与することを見出しました。この結果は社会性の障害を特徴とする自閉症の病態解明に発展することが期待されます。
 講演後半では、CD38が細胞の中でエネルギー産生やDNA修復に関わる補酵素であるNAD?(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の低下を介して神経炎症や神経細胞死を促進する可能性についても言及されました。炎症誘導モデルにおいてCD38欠損マウスで神経障害が軽減することなどが示され、神経変性疾患の理解、さらには治療戦略の検討において重要な視点が提示されました。
 以上より、アストロサイトに発現するCD38は、社会性行動と神経炎症という一見異なる現象の双方に関与しうる重要因子であることが示唆されました。本研究は、脳機能と病態の橋渡しとなる新たな概念を提示するものであり、今後の病態理解や治療標的探索への発展が期待されます。

 当日は講演後に多くの質問が寄せられ、研究の背景から今後の展望に至るまで、参加者の関心の高さがうかがえる活発な意見交換が行われました。本講演会が、学内の研究交流を促進し、新たな共同研究の契機となることで、今後の研究?教育のさらなる発展につながることが期待されます。
 今後の研究展望として服部先生は、神経細胞、精神疾患、精神遅滞、脳内炎症といった領域を重要なキーワードとして挙げられました。共同研究については、すでに奈良先端科学技術大学院大学との連携を進めていることに触れられるとともに、今後、分野横断的な交流や情報共有の機会が増えることで、新たな共同研究の創出や研究の発展につながることへの期待を示されました。

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 以上

研究力向上支援センター
特命講師?URA 富樫英

 

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